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未払残業代の温床?振休と代休に注意!

代休を与えれば休日出勤が帳消しになるという佐藤社長の考えは正しいか?

社   長 :  部長、相談したいことがあるとは何のことだ?
総務部長 :  はい、社長。実は、営業部の佐々木と鈴木が、休日に仕事をした分の割増賃金を請求してきてまして、その対応についてご相談したいことがあります。
社   長 :  休日に働いてもらった分については、必ず代休を与えているじゃないか。代休を与えたのに割増賃金を支払えとはどういうことなんだ?法律でも変わったのか!
総務部長 :  そういうわけではないんですが、私も彼らから言われてすぐにインターネットで調べたところ、そもそもこれまでのうちのやり方自体が間違っていたようなんです。
社   長 :  休日に仕事をさせた分は、代休を与えているんだから、割増がつくのはおかしいじゃないか。
総務部長 :  振替休日として、事前に休日を決めておけばいいんですが、休日に労働をさせてから、後日、代わりの休日を与える場合は、割増賃金が発生してしまうそうです。
社   長 :  よくわからんな、どこにそんなことが書いてあるんだ?君がインターネットで調べたページを見せてみなさい。
1.そもそも休日とは?
休日とは、労働義務のない日のことをいい、勤務日に休みをとる休暇とは異なる。労働基準法第35条では、使用者は労働者に対して毎週少くとも1回の休日を与えるか、4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならないと規定している。さらに、休日は暦日(午前0時~午後12時まで)である必要があり、特段の定めをしないかぎり、1週間は日曜日を起点とする。
こうして労基法で定めた休日を「法定休日」といい、別途就業規則などで規定する休日のことは「所定休日(法定外休日)」といい、両者は区別されている。ちなみに、多くの会社が法定休日以上の所定休日を与えているのは、週40時間という労働時間の規制があるからである。
ところで、法定休日に労働させると3割5分の割増賃金を必ず支払う必要があるが、所定休日に労働させたとしても週40時間を超えない限り割増賃金は生じない。つまり、同じ休日労働といっても法定休日の場合は3割5分、所定休日の場合は2割5分(週40時間を超過した部分)、と、その割増率は異なる。
そもそも就業規則などで「法定休日は日曜日とする」と特定する必要はなく、かりに休日労働をさせることを考えれば、法定休日は定めておかないほうがいい。
2.振休と代休の違い
仕事の都合などで休日に働かせなければならなくなった際の措置として、「振休(振替休日)」や「代休」がある。企業の中には、これを同じ意味合いで使用しているところもあるようだが、両者には大きな違いがある。
振休とは、労働日と休日を「事前に」振り替えることで、本来の休日を労働日とし、他の労働日を休日に変更することをいう。なお、振休は就業規則の中で規定しておかなければならない。
振休で重要なのが「事前に」という点である。一般的には、週1日の休日が確保されている以上、休日労働には該当せず割増賃金の支払いは不要である。しかし、同一の週の中で休日を振り替えないと、週40時間を超過する場合があるので、2割5分の割増賃金は支払わなければならない。
実際のところは、こうした点に無頓着な企業が少なくないので、意図せずして割増賃金の未払い問題を抱えていくことになる。
次に代休であるが、代休とは、休日労働があった場合に、その代償として「事後に」休日を与えることをいう。ここで重要なのが「事後に」という点である。代休が振替休日と異なるのは、休日労働をした事実が残るところである。したがって、事後に代休を付与したとしても、3割5分(法定休日労働)ないし2割5分(所定休日)の割増賃金の支払い義務が必ず発生することになる。
また、事後に代休を付与した場合、休日労働に対する割増賃金を割増部分(3割5分又は2割5分)のみとしているケースがほとんどであるが、本来なら就業規則において割増部分のみ支払うという合意相殺の規定をしておくことが必要になる。もちろん、休日労働に対する賃金を割増部分も含めて支払うのであれば、そもそも代休を付与する必要もなくなる。
3.休日労働は未払い残業代の温床
こうしてみると、休日労働が多ければそれだけ未払い残業代が生じる可能性は高くなる。しかしながら、中小企業の場合、急な受注等に対応しなければならないことも多く、決められた通りの休日は難しい。必然的に、振休と代休の違いをあいまいにしたまま、未払い残業代リスクを抱え込んでいくことになるのだ。
そこで、1年間の休日日数を減らすことを検討してみよう。休日日数は1日の所定労働時間が長ければ増えるし、短ければ減ることになる。
例えば、1日8時間なら年間105日、1日7時間30分なら87日(閏年は88日)、1日7時間なら68日(閏年は69日)である。
休日日数が少なければ、休日労働の可能性は低下するので、振休や代休も少なくなるはずだ。
1日の労働時間を短縮することで、会社の業務にどのようなマイナスの影響がでるのか、休日日数が少なくなる場合のプラスの効果と比較、一度検討してみることをお勧めしたい。

※POINT

  • 労基法に基づく休日を「法定休日」といい、別途就業規則で定める休日を「所定休日(法定外休日)」といい、割増率は法定休日で3割5分、所定休日で2割5分となる。
  • 振休と代休には大きな違いがあり、振休は事前に、代休は事後に休日を付与する
  • 振休と代休を混同し代休を与えれば割増賃金が必要ないと考えている企業が多いが、振休と異なり代休の場合は必ず割増賃金が発生することに注意しなければならない。
  • 休日労働による未払い残業代リスクを軽減するために、1日の労働時間を短縮して、1年間の休日日数を減らすことも検討してみよう。

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