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退職社員から資格取得費用を返還させる!

会社負担で資格取得後に、退職する社員が後をたたない。返還請求できるか?

社   長 :  新井くんはまだ半年も働いていないじゃないか。会社の支援制度を活用して資格を取ったくせに、こんなに早く退職されたんでは、会社としてはたまったもんじゃない。今年になって彼が何人目になるんだ?
人事部長 :  本当に困っております。今年で4人目です。採用の際、会社の費用で資格が取れることが当社のセールストークですが、どうしたものでしょう?確かに、採用はし易くなっているように思われますが、こうすぐに退職されたのでは私も参ってしまします。
社   長 :  もとはといえば、君がしっかりしていないからこんなことになっているんじゃないのか?たとえば3年以内に退職したら、全額費用を返してもらえばいい。そもそもルールを決めていないから、こんな安易に辞められてしまうんじゃないのか?
人事部長 :  面目ございません。普通の人間なら、恩義に感じて頑張ってくれるものと期待していたんですが、それでは駄目なんですね。
社   長 :  なにを理想家みたいなことを言っているんだね。新井くんには全額費用を返してもらいなさい。
人事部長 :  実は、それが無理みたいなんです。
社   長 :  なに?いったいどういうことなんだ!?
1.返還請求は労基法違反の可能性がある
企業においては、従業員の能力開発や早期育成を目的として、業務上必要となる資格取得や研修の費用を全額会社負担で実施している場合がある。その後、従業員が会社に定着し、会社の期待通りに貢献してくれればいいのだが、実際には、戦力化する前に自主退職してしまうケースは珍しくない。
このように短期間で退職してしまう従業員に対しては、会社が費用の返還請求を望むのは当然ともいえるが、会社の対応次第では、しばしば従業員との間でトラブルとなっている。
例えば、資格取得(研修終了)後、一定期間の勤務継続を義務付けていたり、その期間内に自己都合退職したときには費用の全額を返還させるといった内容の社内規程を設けている場合である。
実は、こうした規定は、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)に違反する可能性がある。そもそも労働基準法第16条では、会社が労働契約の不履行について、違約金※1を定めたり、損害賠償額を予定※2する契約を結んではならないと規定しているからである。
2.労基法違反になるかどうかの基準
特定の資格取得または研修の費用を会社が貸与し、その条件として、 一定期間勤務した場合は費用を返還する必要はないが、そうしなかった場合は費用を返還させるという契約が労基法16条に違反するかどうかは、以下のように、①支給したか、②貸したかに分けて判断する必要がある。
①会社が特定の費用を支給し、一定期間勤務しない場合は損害賠償として費用相当分を支払わせるという制度は、 労基法16条
   が禁止する損害賠償額の予定に該当する。
②これに対して、会社による費用などの援助が純然たる貸借契約として定められたもの、つまり、返還方法が労働契約の履行・不履
   行と無関係に規定されていて、一定期間勤務した場合の返還義務免除が規定されているに過ぎない制度であれば、労基法16
   条違反とはいえない。
つまり、会社が従業員に対して資格取得(研修)費用の返還請求を行うには、その費用を会社が社員に「貸した」という関係、すなわち金銭消費貸借契約が会社と社員の間で成立していることが必要となる。
3.消費貸借契約における注意点
資格取得(研修)費用の貸付制度を導入する際は、以下の点に注意しなければならない。制度自体に無理がある場合、つまり、従業員を不当に拘束するような内容になっていたりする場合は、労基法16条違反になる恐れがある。
①貸付申込みが従業員の自由意思であること
②費用の金額が合理的であること
③費用を返還すればいつでも退職できること
④費用免除までの勤務期間が不当に長くないこと
また、以下のようなケースも、費用の返還を求めることは合理性がないと判断される。
・資格取得が業務を遂行するにあたって必要な場合
・会社として当然に行うべき研修
・会社が強制的に資格取得させる場合
・会社が強制的に研修に参加させる場合
4.キャリア形成促進助成金の活用
なお、業務に必要不可欠な資格や研修であり、かつ、それが業務命令である場合には、その費用を全額会社が負担するのは当然といる。
この場合、「キャリア形成促進助成金」をはじめとする公的制度を活用することで費用負担の軽減を図ることを検討すべきである。
5.社内規定の整備と誓約書の作成
まず、社内規定において、「資格取得(研修)費用は社員に『貸す』ものである」ことを記載し、そのうえで、その規定を十分説明し「○年以内に退職する場合は、要した費用を直ちに返還する」という内容の誓約書(署名・捺印)を提出させることが肝要である。

※POINT

  • 近年、資格取得費用や研修費用の負担、返還をめぐるトラブルが増加している。会社は、そうならないよう事前に準備しておかなければならない。
  • 支給した費用の返還は、労基法16条違反となるので注意する。返還させるのであれば、金銭消費貸借契約を結び、費用を貸す形式をとることが必要となる。
  • 返還制度を導入する際は、社内規程の整備と誓約書の作成を怠らないようにしなければならない。

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