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「やさしくわかる労働保険と社会保険」-保険料節約を考える-

1年に1度の手続きとなる年度更新(労働保険)と算定基礎届(社会保険)の提出期限はいずれも7月10日である。こうして同時期に事務手続きが集中することにより、会社にとっては、二つの問題が生じる。一つは保険料の過大・過小申告であり、もう一つは保険料の負担削減を検討する間もないことである。一般に労働保険料や社会保険料は法定福利費と称され、事業主が負担すべき人件費に占める割合は約16%程度と大きい。

以下、法定福利費の明細である。

①健康保険料の事業主負担分
②厚生年金保険料の事業主負担分
③介護保険料の事業主負担分
④児童手当拠出金の事業主負担分
⑤厚生年金基金掛け金の事業主負担分
⑥雇用保険料の事業主負担分
⑦労働者災害補償保険料の事業主負担分
⑧雇用保険・労働保険の保険料の概算支払額

いずれも会社を経営している以上は避けられない負担であるが、売り上げや収益につながらない、ある意味では無意味な支出なので、可能な限り節約したいと考えるのが経営者の偽らざる気持ちである。そこで今回は労働保険と社会保険の保険料の仕組みと節約方法に焦点を当ててみたい。

1.労働保険

(1)労働保険料の仕組み
保険料は、①労災保険分については全額事業主負担、②雇用保険分については、失業等給付の部分が事業主と従業員の折半、雇用安定事業等に充当する部分は事業主が負担し、①と②の全額を事業主が納付する。

4月1日から翌年3月末までの1年間(これを「保険年度」という)を単位として計算し、全ての労働者(雇用保険については被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率(注1)を乗じて算定することになっている。

なお、労働保険では保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定した後に精算する方法を採っている。従って事業主は、労働局に対し前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と併せ、新年度の概算保険料を申告・納付する手続きが必要となる(これを「年度更新」という)

(注1)労働保険料率
労災保険料率と雇用保険料率に分かれており、それぞれ次の通りである。
a.労災保険率(2013年度)は、事業の種類ごとに最低1000分の3から最高1000分の89(全額会社負担)。

『表①』

b.雇用保険率(同)は、1000分の13・5。(会社負担は1000分の8・5)

(2)労働保険料の過不足発生に要注意
会計検査院の検査によると、09年度から11年度の3年間の累計で、保険料不足額が約4億5000万円、保険料過大額は約6070万円であった。こうした過不足は次の原因による。

 【不足の原因】
①パート労働者等の加入漏れ
(注)いわゆるパート労働者等の短時間就労者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上(10年4月1日以降)の雇用が見込まれる者が対象となる。
②パート等の賃金算入漏れ
③労災保険料率のミス

【過大の原因】
①役員報酬を誤って賃金に算入
②労災保険料率のミス
(3)労災保険料の削減を検討
①事務所と倉庫を分離
労災保険料は事業所ごとに判断されるので、倉庫内に事務所がある場合は一つの事業所と見られ、高い保険料率が設定される可能性が高い。こうした場合、事務所を別の番地に移すなどすれば、異なる事業所と見なされることとなり、事務員としての低い保険料率が適用され、労災保険料を削減できる。

例)事務員の賃金に対しての労災保険料は3分の1へ削減(1000分の9から1000分の3)

②工場長や営業部長を積極的に使用人兼務役員に登用
工場長や営業部長は労働保険の適用対象であるが、役員は対象外である。使用人兼務役員に登用することで、給料を役員報酬分と使用人分(使用人分を50%以上)とに分けて支給すると、役員報酬分は労働保険料の算定基礎から除外されるので、保険料を削減できる。

例)工場長(給与:50万円)から、取締役工場長(給与:30万円、役員報酬:20万円)とするだけで、労災保険料は40%削減(保険料算定ベースが50万円から30万円)

2.社会保険

(1)社会保険料の仕組み
保険料は、①児童手当拠出金分については全額事業主負担、②厚生年金、健康保険、介護保険部分は事業主と従業員が折半し、①と②の全額を事業主が納付する。毎年9月に決定される標準報酬月額と賞与支給時の標準賞与額に各保険料率(注2)を乗じて計算している。

標準報酬月額は7月1日現在で使用している全被保険者の3か月間(4~6月)の報酬総額をその期間の月数で除して決まるが、これを「算定基礎届」という。

(注2)社会保険料率
a.厚生年金保険料率は、ことし9月から1000分の171・2。毎年9月に1000分の3.54ずつ上がることになっており、17年以降は1000分の183。
b.健康保険料率は毎年3月に改定がある。組合健保(組合管掌健康保険)と協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)があるが、協会けんぽ(13年度)の中でも長野の1000分の98・5から佐賀の1000分の101・6と、都道府県で料率が異なっている。
c.介護保険料(40歳以上が対象)は、毎年3月に改定があるが、13年度は一律1000分の15・5。
d.児童手当拠出金は同じく1000分の1・5。

≪過去3年間の会社負担保険料の推移(東京都)≫

『表②』

 例えば平均月収30万円の従業員が30人いる場合、会社が負担しなければならない法定福利費は、年間1744万円にも上る。
(2)社会保険料の納付不足、滞納に要注意
 ここ2、3年、年金事務所の調査が強化されている。また、会計検査院によると、09年度から12年度の4年間の累計で、保険料の納付不足が約11億5000万円あった。

11年度は保険料の滞納事業所数が16万2735社と過去最高を更新し、厚生年金加入事業所の約1割を占めることが判明した。滞納額は約4500億円と、その5年前と比べ2倍近くも増えている。役所はこうした事態に対して徴収強化の姿勢を強め、督促に応じない事業所への差し押さえ件数を約1万7800件と前年度比30%も増やした。

赤字であろうが毎月必ず支払わなければならない社会保険料は、税金よりも負担が大きい。納付不足に伴いまとまった保険料の支払いを余儀なくされれば、それを引き金に保険料の滞納にもつながりかねない。

保険料不足の原因としては、次のようなものがあるので、注意しておきたい。

①パート等の加入漏れ(意図的と不注意とがある)
②入社時から加入させなかった
③賞与支払届の提出を怠っていた
(3)社会保険料の削減を検討
4~6月は残業をさせないようにしようという話をよく耳にするが、この期間の報酬次第で1年間の社会保険料が決まることを考えれば当然と言えよう。簡単な方法では、昇給月を4月から7月へ変更したり、皆勤手当を奇数月にしたりと、社会保険料節約の方法はいくつかある。以下、対象従業員数次第では大きな効果が出る手法を挙げてみる。

①標準報酬月額の給与の幅を合理的に活用
例えば給与が42万4999円の場合と42万5000円の場合では、給与額の差はわずか1円だが、標準報酬月額は前者が41万円、後者は44万円と1等級違うので、社会保険料は年間で約5万円も変わってくる。対象従業員が20人もいれば、年間100万円の節約につながる。給与を決める際には、標準報酬月額の等級表を参考に判断することが重要である。

『図1』

②住宅手当から借上げ社宅制度へ変更
例えば月収34万円(住宅手当4万円)の従業員に対して、住宅手当から借り上げ社宅に変更する(図2)と、標準報酬月額は34万円から30万円になり、保険料負担は年間6万8000円程度下がる(図3)。更にこの方法を利用すると、事業主にとって頭の痛いもう一つの問題である残業代の節約にもつながるので、対象者がいれば一考してみたい。

(図2)

≪現状≫

≪対策≫

(図3)

3.おしまいに

会社経営の肝は、資金繰りである。損益計算書やバランスシートをいくら注視しても、社会保険料や労働保険料といった法定福利費には、なかなか目が向かなかったと思う。しかし、これらが会社の資金繰りに大きな影響を及ぼしていることを十分に認識するべきである。筆者がコンサルした企業でも、小さな工夫を積み重ねる過程において毎年の保険料節約につなげている。今回いくつかの対策方法を取り上げてみたが、すぐにでも実践に移してみて欲しい。

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