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社員の副業に会社はどうする?

コンビニで従業員がアルバイト。蔭山社長はクビにしろとカンカンだが。

社   長 :  部長、君の部署の社員がアルバイトをしているらしいじゃないか。どんなバイトをしているんだ?
総務部長 :  社長、面目ございません。うちの部署の山下のことです。でも、土曜日の休みを利用して、コンビニの店員をしていただけなんで、そんなにたいしたことではないんですが・・・。
社   長 :  馬鹿もん!たいしたことがないとはどういうことだ。副業はクビ!それが一般常識だ。
総務部長 :  情状酌量の余地はないでしょうか?
社   長 :  何を言っているんだね、君は。一度こういうことを認めたら、収拾がつかなくなるぞ。彼も運が悪いが、他の従業員に対する見せしめが必要だ!
(数日後)
総務部長 :  社長、山下の件ですが、今回解雇は難しいようです。
社   長 :  就業規則に書いてあるじゃないか!
総務部長 :  そうなんですが、社労士の先生に相談したところ解雇は難しいと言われてしまいました。
社   長 :  君はどうしても山下の肩を持つ気かね?先生を呼んでくれ、私が直接話を聞く。
1.副業社員の増加
長引く不況による賃金の低下、ボーナスカット等収入減少の影響により、社員の副業が増加している。独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「副業者の就労に関する調査」(平成21年)によると、副業している人の割合は全体の8.1%であった。ちなみに、某民間転職会社の調査(平成23年、25~39歳の正社員800人を対象)では、20.1%と5人に1人が副業をしているとの結果がでている。
その一方、多くの会社では就業規則において副業を禁止している。少し古くなるが、上記機構が行った「雇用者の副業に関する調査研究」(平成17年)によると、副業を禁止している会社は全体の50.4%、許可制が20.6%となっている。
尚、副業禁止の規定は、就業規則の「服務規律」で定めている。

(二重就労の禁止・競業避止義務)
第○条 社員は在職中に会社の許可なく、他の会社に就業してはならない。また、他の会社の役職員になったり、自ら開業したりすることも同様とする。 (以下、省略)

このように、多くの企業が就業規則によって社員の副業を禁止しているにもかかわらず、実態は、社員の副業は増加している。
では、本来禁止している社員の副業が発覚した場合、会社は社員にどこまでのペナルティを科すことができるのであろうか。
2.副業を理由に社員を懲戒できるのか
副業禁止の規定は、次の懲戒規定へとつながる。

(懲戒)
第○条 社員が、当該就業規則に違反した場合、および重大な不注意により、あるいは意図的に会社に損害を与えた場合には懲戒する。
(論旨解雇、および懲戒解雇)
第○条 社員のうち、次の各号のいずれかの行為を行った者は、論旨解雇あるいは懲戒解雇に処せられる。
・会社の許可なく他の法人の役員となり、あるいは他に就業し、または自ら開業したとき
(以下、省略)

裁判例では、就業時間以外の社員の時間は原則自由とし、就業規則で副業を全面的に禁止することは不合理であるとの前提にたっている。このため、就業規則における副業禁止規定は、それ自体が直ちに無効となるものではないものの、懲戒の対象となる範囲は極めて限られる。
具体的には、副業が及ぼす企業秩序への影響、労務提供の支障などを考慮し、次のようなケースであれば懲戒に該当し得るとされる。
・副業のために遅刻や欠勤が多くなった
・競合する他社で働き、会社の利益を損ねた
・会社固有の技術やノウハウを漏洩した
・会社の名前や名刺を使って副業した
・違法な仕事をして会社の品位を落とした(風俗関係など)
3.副業禁止から副業管理へ
社員の副業は発覚しても懲戒対象が限られるため、多くの場合黙認される傾向にある。しかし、これは組織管理の点からも望ましくないし、万一トラブルに巻き込まれたら、会社は致命的な打撃を受けかねない。 そこで、副業禁止ではなく届出制とし、原則許可することを検討する。許可しない業務の種類や副業時に注意しなければならないことを明示、これを遵守することを条件に副業を認めるわけだ。
社員が副業をするのは、収入増のためだけではなく、自己啓発、キャリアアップという目的もあり、会社にとっては多様な人材確保につながるメリットもある。これからの時代、社員の副業に対し、柔軟に対応できる社内体制を整えることも検討してみよう。

※POINT

  • 副業を禁止している企業は多いが、その一方で、副業をする社員は増加している。こうした実態に対応すべき組織管理が求められている。
  • 就業規則で副業禁止としていても、それを根拠とした懲戒解雇は極めて難しい。
  • 経済社会の変化から、社員の副業は禁止から管理する時代になっている。副業を原則許可する社内体制を検討すべきである。

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