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遅刻3回で欠勤1日の賃金カットは可能か?

社員の遅刻、規律の乱れを懸念する瀧島社長は総務部長にその対策を命じる。

社   長 :  最近、社員の遅刻が目に付くのだが、わたしの気のせいかな?
総務部長 :  お気付きになりましたか。確かに以前よりも遅刻をする社員が増えております。電車の遅れなどのトラブルが多くなっていることも原因の一つと思われますが、遅刻に対するペナルティがないことがいけないのかもしれません。
社   長 :  まったくお咎めなしか?まさかとは思うが、さすがに遅刻者には皆勤手当は出していないだろうね?
総務部長 :  すみません、社長。遅刻時間分の控除はしておりますが、遅刻・早退とも出社していれば支払うことになっています。
社   長 :  おいおい、そんな甘々だから「少しの遅刻ならいいだろう」なんて勘違いする社員がでてくるんだ。
総務部長 :  おっしゃる通りです。すぐに就業規則を見直すようにします。わたしがいた前職では「遅刻3回で欠勤1日」という決まりでしたが、いかがいたしましょうか?遅刻に対する抑止効果はかなり高いと思います。
社   長 :  そうだな、そのくらいの懲罰は必要かもしれないな。違法でなければ、ルール整備をすすめてくれ。
1.遅刻3回で1日分の欠勤は適法か
遅刻または早退3回で欠勤1日とし、1日分の賃金を控除するような規定を設けている就業規則をよく見かけることがある。遅刻・早退に対する懲罰的な意味合いを狙っているのだが、実際には、この規定は労働基準法に抵触する場合があるので、十分注意する必要がある。
例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社で、1回1時間ずつ1カ月の間に3回遅刻した場合を考えてみよう。
このケースでは、遅刻によって労務の提供がなかった3時間分の賃金を支給しなくても「ノーワーク・ノーペイの原則」に則り、問題にはならない。
しかし、遅刻3回を1日の欠勤として賃金を控除したら、労務の提供がなかった3時間を上回る8時間分の賃金を控除することとなり、労働基準法第24条「賃金の全額払いの原則」に違反する。
つまり、賃金カットは、労基法第24条の趣旨から「ノーワーク・ノーペイの原則」の限度で実際の時間分についてのみ認められる。

労働基準法第24条
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

2.減給の制裁の可否
しかしながら、遅刻・早退を規則違反と捉え、懲戒処分として賃金を減額することは可能であり、この場合は、労働基準法第91条の制限を受けることになる。

労働基準法第91条
1回の額が平均賃金※1の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

例えば、遅刻・早退について30分単位で切り「上げ」して時間計算し減額する場合、これは労基法第91条の「減給の制裁」に該当する。また、減給の制裁に当たるのは、実時間に対応する控除額を超える部分にとどまると解されている。
では、「遅刻3回で1日欠勤」という減給処分は、はたして可能なのであろうか?
労基法91条によれば、減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならないとされているので、遅刻3回に対しては、0.5日分×3回=1.5日分の減給ができることになる。そうであれば、1日分の減額は可能なようにも思えるが、2回目までの遅刻に対しては懲戒せず、3回繰り返したことで懲戒するのであれば、3回の遅刻を1セットとして、0.5日分の減給しかできないことになる。
厳密にいえば、遅刻3回分の通算時間による賃金控除が平均賃金の2分の1以上であった場合のみ、減給の制裁による2分の1の減額とあわせて、1日分の賃金カットが可能になるのだ。
したがって、遅刻が同じ3回でも遅刻の通算時間によっては、減給処分ができたりできなかったりするおそれが出てくることになる。これででは、出退勤に関する公平な取り扱いが行われないおそれがあり、やはり、「遅刻3回で1日欠勤」という減給の制裁は、適切とはいえない。
3.現実的な対応策
では、遅刻・早退に対する現実的な対応としては、どうすればいいのであろうか。その答えとして最も現実的な対応策が、賞与で差をつけることである。賞与であれば「遅刻または早退3回をもって欠勤1日に換算する」という規定を設けても、違法にならない。
社員に対して、勤怠成績が重要な賞与査定の要素であることを周知徹底すれば、なおさら効果的であろう。従業員の遅刻・早退を少なくし適切な出退勤管理をする上で、是非とも検討すべきである。
4.減給の制裁は繰越し可能
ところで、複数のペナルティ事案が重なることにより、1賃金支払期に対する減給の制裁の合計額がその賃金総額の10分の1を超える場合も考えられる。この場合は、超過分の減給を翌月以降に繰り越すことが可能である。

※POINT

  • 遅刻・早退により労務の提供がなされなかった時間は、「ノーワーク・ノーペイの原則」に則り、適法に賃金カットができる。
  • 遅刻・早退に対する懲戒処分として、「ノーワーク・ノーペイの原則」を上回る賃金カットをすることは可能であるが、労基法第91条の制限を受けることになる。
  • 遅刻・早退3回で1日欠勤は、懲戒権の濫用にあたる可能性が高い。実際の運用では賞与査定等の別枠でペナルティを検討すべきである。

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